生産性向上指針
株式会社あかしあ
介護付有料老人ホームあかしあ大河
1. あかしあ大河における生産性向上の考え方
一般的に生産性向上とは、従業員及び労働時間数あたりの付加価値額を設備投資や労働の 効率化などによって向上させるものとされます。生産性は、Output(アウトプット:成果)/ Input(インプット:単位 投入量)の分数で表し(図1)、少ないInputからより多いOutputが得られれば、生産性が「高い」という評価になります。また実際の生産性を向上させるためには、InputとOutputの間にあるProcess(プロセス:課程)に着目して取り組む重要性が指摘されます(図2)。

当施設が行っている介護サービスの生産性向上とは主に間接業務(直接ご入居者と関わらない業務)や過剰に行っている本来不要な介助など、ムダを無くして効率よく仕事をこなし、「ご入居者に質の高いケアを届け、自立を支援する」という介護現場の価値を重視し、「介護の価値を高めること」と定義します。例えば、“テクノロ ジー”の導入により、記録や申し送りなどの間接業務や見守り、巡回といった間接介助を短縮し、利用者とのコミュニケーションを充実させるなど、直接介助の時間を増やすことでサービスの質を高めることができます。そのようなとらえ方は、利用者について新しい発見をしたり、仕事の意義を再認識したりするなど、自らの仕事へのやりがいや楽しさを実感し、モチベーションを向上させることにも繋がります。
ただし、当施設において活用する“テクノロジー”とはあくまでご入居者に提供する介護サービスの質を向上させる為に導入する一つの“手段”として位置するものであり、テクノロジーを扱える事が即ち介護の質が向上していると捉えてはいけません。
テクノロジーを一つの手段として捉え生産性向上及び介護の質の向上を目指し、持続可能な科学的介護を実践すべく、本指針を定めます。

2. 施設における体制と取り組み
(1) 生産性向上委員会を定期的(1回/3ヶ月)開催:職員が施設における生産性向上の考え方を理解しながら、学びを深める。
(2) 生産性向上委員会のメンバーは、以下のメンバーで構成する。
ア)施設長(プロジェクトオーナー) イ)統括リーダー
ウ)生活相談員 エ)介護職員 オ)看護職員
カ)事務職員 ※イ~カのメンバーからプロジェクトリーダーを 1 名選出する。
(3) 生産性向上に関する研修を年1回実施。
外部研修にも積極的に参加する。
(4) 『介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン※1』に沿って、現状の業務から「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3Mを無くし、より安全に正確に効率的に行えるよう検討する。
※1)『介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン』データはあかしあ大河PC内共有フォルダ(share)→★委員会→生産性向上推進委員会フォルダ内に保存
(5) 7分類での業務改善の取り組み実施。
①職場環境の整備:5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の視点に基づき環境整備実施
例:業務に必要な物品を整理整頓→必要なものをすぐに取り出して作業に取り掛かれる事で業務効率向上
②業務の明確化と役割分担:3M(ムリ・ムダ・ムラ)を無くし、『集約させる・分散さる・削る』の3つの視点※1で見直す
※1:『集約させる・分散さる・削る』の3つの視点とは
【集約させる】
「何回にも分けて実施していたことを1回でまとめてやる」「各自がやっていたことを1人の専任者に集中化する」など。
例)介護を構成する業務の一部(例えば入浴介助)を特定の職員に専門的・集中的に担当させる方法などが考えられます。この方法は当該担当職員の業務の習熟が進み、業務のスケールメリットが生まれるなどによって生産性が向上する可能性があります。ただしその一方で、スケールメリットは規模がある程度大きくなければ実現できない場合が多いことや、職員の業務内容を専門集中化させると、逆に単調な仕事に勤務意欲が薄れてしまい、結果として処理される業務の質・量が低下となってしまう場合があるなどの面も踏まえる必要があります(その場合定期的な職務ローテーションによってカバーする方法がある)。
【分散させる】
「1回でまとめてやっていたことを他の業務にあわせてその都度行う」「1人の専任者がやっていたことを各自で分担してやる」など。
業務の種類によっては、「集約させる」よりも逆に「分散させる」ほうが全体から見て効率的になる場合もある為、業務の内容や規模からよく検討していく必要がある。
【削る】
「必要性の低い業務自体をやめてしまう・簡略化する・短時間でやる」など。
③手順書の作成:サービスレベルの底上げ・均質化を行う
業務手順書は単なる業務マニュアルではなく、職員間で理念やビジョンを共有するツールでもあり、この手順書を通じ全職員が共通認識のもとに行動する事で現場での判断スピードが上昇。
④記録・報告様式の工夫:情報を容易に読み取れるようにする
各種記録物において既存の書式や形式に囚われずどうすれば効率化を図れるかを検討。
⑤情報共有の工夫:ICT機器を利用し無駄を削減した情報共有
ICT機器による入力作業によりご入居者の情報が画一化されないよう注意が必要。
⑥OJTの仕組みづくり:教育担当による指導のばらつきをなくす
OJT(On the Job Training)とは、実際に業務を行う中で必要なスキルやノウハウを伝える人材育成の手法。OJTを導入する際には、標準的な手順を設定し、指導手順が属人的にならないように工夫
※属人的:特定の人や個人に依存している、またはその人特有の特徴が強い状態を指す言葉。 組織においては、一部の個人の技能や知識に頼りすぎたり、ある人物がいなければ進行しないなどの状態を示す際に用いる言葉。
⑦理念・行動指針の徹底
介護現場では、手順書やマニュアルに記載されていないイレギュラーな事態が起こることも想定される。このような状況に対応するためには、法人の理念・行動指針に立ち戻って考えることが重要。理念・行動指針を全職員に徹底することで、どの職員でも均質化した対応が可能となり、不測の事態にも適切な判断や行動ができるようになる。
(介護現場において必要な視点OODAサイクルにおける意思決定時の指標として理念・行動指針が重要)
(6) データ分析(エビデンス)に基づいた業務改善の取り組みを行う。
①業務負担改善に関する職員アンケートの実施
②事故発生件数や時間外労働時間等の集計と分析
③間接業務時間、間接介助時間、直接介助時間の分析
④業務の見える化による分析
附則 この指針は令和6年4月1日から施行する

